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物流倉庫の管理を効率化する方法と押さえておきたい倉庫管理の役割

物流における倉庫管理の役割

倉庫管理は、商品の入荷から出荷までに発生する業務を含め、物流倉庫内で行う業務を適切に管理することです。
ここには、人員の配置や設備の管理なども含まれます。倉庫管理の主な役割は以下の3つです。

【役割】

  • 物流コストの削減
  • 顧客満足度の向上
  • 在庫管理の最適化

各役割について詳しく解説します。

物流コストの削減

倉庫管理を適切に行うと、物流コストの削減を見込めます。
ロケーション管理により、物流倉庫内のスペースを効率よく使用できるためです。在庫の最適化により、過剰在庫を防げる点もポイントです。これらの働きで賃料の削減を期待できます。
また、倉庫管理に取り組むと、ピッキングしやすくなるなど、業務効率も高まります。生産性の向上により、残業代をはじめとする人件費も削減できるでしょう。物流コストの削減は、倉庫管理の重要な役割です。

関連記事:物流コストとは?費用内訳を減らす方法について

顧客満足度の向上

倉庫管理は、顧客満足度の向上にもつながります。業務の最適化などにより、配送リードタイムを短縮したり、誤配送を防いだりできるためです。
もちろん、在庫不足に起因する配送遅延を防ぐ働きも期待できます。倉庫管理に取り組むと、商品を正確かつ迅速に届けられるようになるといえるでしょう。

配送スピードはECを利用するユーザーが特に重視しているポイントです。過去に行われた調査で、2つのECの価格が同じであれば、より早く配送してくれるサイトに魅力を感じると全体の60%が回答する事例がありました。顧客満足度の向上も、倉庫管理の重要な役割といえるでしょう。

出典:DIGITAL COMMERCE360「The Shopper Speaks: The fate of free shipping」

在庫管理の最適化

倉庫管理は、在庫の最適化にもつながる取り組みです。
具体的には、入荷した商品、出荷した商品などを正確に管理して、在庫量が所定量まで減少したときに一定量を発注するなどの方法で適切に管理できます。在庫の最適化は、利益の向上や保管スペースの削減、顧客満足度の向上(在庫不足による配送遅延の防止)などに関係する取り組みです。在庫管理も、倉庫管理の重要な役割といえるでしょう。

関連記事:在庫管理とは?物流業界における在庫管理の重要性と課題

物流における倉庫管理の業務内容

倉庫管理の主な業務は以下の3つです。

【業務】

  • 在庫管理
  • 入荷管理
  • 出荷管理

各業務について詳しく解説します。

在庫管理

倉庫内で保管している在庫を適切に管理する取り組みです。
具体的には、在庫量を把握して発注時期や発注量を管理する取り組み、業務にあわせて保管場所を設定する取り組み、保管している商品の状態をチェックする取り組みなどを指します。在庫管理に取り組むことで、過剰在庫や在庫不足を防いだり、商品を良好な状態に保てたりします。後者のポイントは、原則としてFIFO(First In First Out:先に入れたものを先に出す)を心がけることです。したがって、在庫管理では入荷日、保管期間、出荷日などの情報も管理する必要があります。

入荷管理

倉庫に届いた商品を保管棚に格納する業務です。具体的には、以下の業務で構成されます。

入荷業務 概要
荷受け 商品をトラックなどから降ろす業務。パレット積みされているものはフォークリフトなどを使用して降ろす
入庫伝票と照合 伝票と入荷した商品を照らし合わせて正しく入荷していることを確かめる業務
検品 入荷した商品の品質、破損などを確認する業務
仕分け 倉庫内の所定の位置に商品を格納する業務

在庫を正確に把握するため、入荷管理は非常に重要です。ミスが生じると、データ上の在庫と実際の在庫に誤差が生じてしまいます。記録を再照合するなどの作業が必要になるため注意が必要です。

出荷管理

指示を受けて、倉庫から適切な商品を取りだし出荷先へ配送する業務です。出荷管理は、次の業務で構成されます。

出荷業務 概要
在庫の引き当て 出荷指示を受けて在庫を確保する業務
ピッキング 倉庫で出荷予定の商品を集める業務
検品 ピッキングした商品とピッキングリストを照らし合わせて確認する業務。商品の破損などもチェックする
梱包 ピッキングした商品を適した方法で梱包する業務
出荷 梱包した商品を運送会社などへ依頼して発送する業務

ピッキングは人力で行うケースが多いためミスが生じやすいと考えられています。業務に適したピッキング方法を採用してミスを減らすことが大切です。ただし、注意をしてもすべてのミスを防げるわけではありません。
検品でミスをチェックすることも大切といえるでしょう。出荷管理でミスが生じると、顧客から信頼を失ったり、在庫に狂いが生じたりする恐れがあります。在庫管理、入荷管理と同じく、非常に重要な業務と考えられます。

物流の倉庫管理を効率化するためのポイント

ここからは、倉庫管理を効率化する取り組みについて解説します。

ロケーション管理を行う

倉庫管理の効率化に欠かせないのがロケーション管理です。ロケーション管理は、倉庫の保管場所に番地を割り振る管理方法といえるでしょう。モノの場所がわかるため業務の効率化を図れます。ロケーション管理には次の方法があります。

ロケーション管理の方法 概要
固定ロケーション 商品の保管場所を指定する方法。保管場所、在庫量などを把握しやすい点がメリット
フリーロケーション 商品の保管場所を指定せず、空いているスペースに保管する方法。スペースを有効活用できる点がメリット
ダブルトランザクション 倉庫をピッキングエリアとストックエリアに分ける方法。ピッキングエリアは固定ロケーション、ストックエリアはフリーロケーションで管理。作業効率と保管効率の両立を目指す点が特徴

一概にどの方法が優れているとはいえません。
たとえば、作業効率と保管効率を追求できるダブルトランザクションには、ピッキングエリアの在庫をストックエリアから補充しなければならないデメリットがあります。
業務の特徴を踏まえて適した方法を選択することが大切です。

倉庫内のレイアウトを見直す

倉庫内のレイアウトも倉庫管理の効率に大きな影響を与えます。
レイアウトは、以下の2種類に分かれます。

レイアウトの種類 概要
I型 入庫口と出庫口が対面しているレイアウト。作業員、商品の動きをシンプルにできる。ただし、動線が重なりやすい傾向がある
U型 同じ壁面に入庫口と出庫口があるレイアウト。入庫口、出庫口付近に出荷頻度の高い商品を配置すると作業員の移動距離を減らせる。ただし、作業員が集まると業務効率は低下してしまう

それぞれにメリットとデメリットがあります。一度、選択すると簡単には変更できません。業務の特徴を踏まえて慎重に検討しましょう。

関連記事:物流センターのレイアウト|設計の流れと設計時に意識したいポイント

ピッキングリストを活用する

注文を受けた商品、注文を受けた数量、注文を受けた商品の保管場所などを記載した書類をピッキングリスト(指示書)といいます。保管場所まで記載されているため、活用すると誰でも簡単に目的の商品を見つけられます。倉庫管理業務を効率化するため積極的に導入したい書類です。ピッキングリストは、表計算ソフトや倉庫管理システムなどを使って作成できます。

マテハン機器を導入する

マテハン機器は、荷役作業の負担を軽減するために用いられる機器の総称です。代表例として、フォークリフト、ピッキングロボット、ハンディーターミナルなどがあげられます。これらを活用しても、倉庫管理業務を効率化できます。たとえば、ハンディーターミナルを導入すると、手書きや手入力による記録ミスをなくせます。収集したデータを活用して、リアルタイムで在庫管理を行えるようになる点も見逃せません。

各種システムを導入する

各種システムの導入も効果的な対策です。一例として、倉庫管理システム(WMS)があげられます。倉庫管理システムは、倉庫内で行われる業務を支援するシステムです。具体的には、入荷管理・出荷管理・在庫管理・帳票発行・進捗管理・返品管理・棚卸管理などの機能を備えています。たとえば、在庫管理機能で在庫の変動やロケーションを管理することなどが可能です。一連の業務をまとめて管理して、業務効率の向上、ミスの防止、コスト削減などを図れます。

倉庫管理は生産性などに関わる重要な取り組み

ここでは、物流における倉庫管理について解説しました。倉庫管理の業務は、入荷管理、出荷管理、在庫管理で構成されます。主な役割は、物流コストの削減、顧客満足度の向上、在庫の最適化です。業務の効率は、ロケーション管理に取り組むことやレイアウトを見直すことなどで高められます。マテハン機器や倉庫管理システムを導入すると効率化を図りやすくなるでしょう。倉庫管理は、生産性や物流コストに関わる重要な取り組みです。
この記事を参考に、適切な管理を心がけましょう。

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