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物流倉庫にかかる費用とは?自社運用・委託の違いも解説

物流倉庫にかかる費用

物流倉庫にかかる費用は、「保管料(賃料)」だけではありません。

大前提として、荷主が自分たちで倉庫を借りて運営する「自社運用」にするか、物流のプロに運用を「委託」するかによってコスト構造が異なります。

そこで今回は、物流倉庫の運用形態によるコスト構造の違いから、費用の内訳、そして収益性を損なわないために費用を抑えるポイントについて解説します。

自社がどちらの方法に適しているか、また検討している予算は相場からかけ離れていないかを判断するための参考にしてみてください。

自社で物流倉庫を運営する場合にかかる主な費用

物流倉庫を借りて自社のスタッフで作業をする場合、毎月決まった額の「固定費」が発生します。主に発生するのは、以下の4つの費用です。

1.賃料

2.施設・運営管理費

3.人件費

4.システム利用料

賃料

1つ目の費用は、倉庫を借りるための賃料です。
これは、倉庫の貸主に支払う「支払物流費」に当たります。
賃料は「坪単価×坪数」で算出されるのが一般的です。坪単価は、1坪(約3.3平方メートル)あたりの単価を指します。例えば、坪単価4,500円の物流倉庫を10坪借りると、4,500円×10坪=月額45,000円になる計算です。

賃料の水準は地域によって異なり、高速道路ICや港湾・空港など物流拠点へのアクセスが良好なエリアほど高くなる傾向があります。特に、広域配送に適した湾岸部や主要工業エリアでは、需要の集中により坪単価が上昇しやすい状況です。

物流倉庫の費用のなかでも、賃料は支出の大きな割合を占める固定費です。

【2025年末時点の大型マルチテナント型物流施設の賃料相場目安】

地域 1坪あたりの賃料水準
首都圏湾岸エリア(東京ベイエリア) 7,600円前後
首都圏全体 4,500円前後
大阪圏 4,100円前後
名古屋圏 3,700円前後
福岡圏 3,600円前後

出典:各都市の動向-JLMV2025年第4四半期(CRBE)

出典:PROPERTY MARKET TRENDS | 1Q 2025(三井不動産リアルティ)

施設・運営管理費

2つ目の費用は、施設・運営管理費です。賃料と同様、支払物流費に当たります。倉庫の機能を正常に維持するための費用として、次のような内訳が含まれます。

内訳 内容
設備保守点検費 エレベーターや垂直搬送機、消防設備、電気設備など、設備の維持費
保険料 主に火災保険料
共益費 共用部にかかる警備・電気・清掃・修繕費など

共益費が賃料に含まれている場合もあれば、別途請求される場合もあります。契約前に内訳を確認することが重要です。

人件費

3つ目の費用は、運営を支えるスタッフにかかる人件費です。自社で直接雇用するため、「自家物流費」に当たります。人件費には現場スタッフの給与や、採用・教育にかかる費用、社会保険料が含まれます。

求人サイト「求人ボックス」が算出した倉庫作業員の平均給料は、以下のとおりです。(2026年1月時点)

雇用形態 平均給料額
正社員 年収430万円
派遣社員 時給1,328円
アルバイト・パートタイマー 時給1,198円

出典:求人ボックス:求人ボックス給料ナビ

地域によっても給料平均は異なり、またフォークリフトを運転する作業者は給料平均が高くなる傾向です。

スタッフを自社で抱えることは、ノウハウを蓄積しやすいメリットがある反面、物量が少ない閑散期でも給与を支払う必要があるというデメリットもあります。

システム利用料

4つ目の費用は、システム利用料です。

取り扱う貨物の種類や荷動きが多い企業では、多くの場合、倉庫管理システム(WMS)を利用します。

自社運用では、こうしたシステム利用料も自家物流費に分類されることがあります。
オンプレミス型で自社専用システムを構築するケースでは、システムのライセンス料や保守費用を直接負担します。初期の導入費用だけでなく、法改正や業務フローの変更に伴うアップデート費用も考慮が必要です。数百万円〜数千万円の費用を見込みましょう。

最近主流のクラウド型であれば、一般的に月額利用料と比較的負担の少ない初期費用で済みます。カスタマイズ性はオンプレミス型に及びませんが、保守費用がかからず、インターネットを経由して複数のパソコンで利用できます。初年度は百万円~数百万円程度の費用を見込むとよいでしょう。

このように倉庫を借りて自社運用する場合、施設や設備、運営に必要なスタッフ・システムにかかる費用が固定費として発生することが特徴です。

物流倉庫の運営を委託する場合(営業倉庫)の費用は?

ここまで自社運営の場合の費用について解説しましたが、続いては保管および荷役業務を含めて外部事業者に委託する場合の費用について見ていきましょう。

物流を外部委託できる「営業倉庫」を活用する場合の費用は、固定費と変動費の組み合わせで構成されます。すべて委託先の事業者に支払う「支払物流費」となる点も特徴です。

主な固定費の内訳

物流倉庫の運営を委託する場合、次のような費用が固定費として発生します。

1.業務管理費

2.システム利用料

業務管理費は、本社経費や事務処理費など、現場が作業するために必要なバックヤードにかかる費用が含まれます。その他、貨物の管理全般に関わる費用と考えるとよいでしょう。費用相場は、1万円から5万円程度です。

システム利用料は、自社運用の場合と同じく、倉庫管理システム(WMS)の利用に際して発生します。物流会社が構築したオンプレミス型のシステムを使うこともあれば、外部のクラウド型システムを使うこともあります。基幹システムや受注管理システムとの連携には初期費用がかかりますが、それ以降は月額2万円から5万円程度が相場です。

主な変動費の内訳

次に物流倉庫の運営を委託する場合の変動費を紹介します。以下のとおりです。

  • 保管料
  • 入庫料
  • 出庫料・ピッキング料
  • 流通加工料
  • 検品料
  • デバンニング料

保管料は、倉庫の中に荷物を置いておくスペースに対してかかる費用です。自社で倉庫を運用する際の賃料に相当します。

入庫料は、トラックで届いた荷物を倉庫の中に入れて、決められた棚に並べる作業にかかる費用を指します。料金の形態は、1個当たりで設定されることが多く、小型商品のバラ入庫の場合は15円から30円程度が相場です。一方で、サイズ別の料金を採用する倉庫では60サイズ30円~、80サイズ40円~のように変動する場合もあります。

出庫料・ピッキング料は、注文が入った時に棚から商品を探し出して持ってくる作業にかかる費用です。料金の形態は入庫料と同じく、1個当たりで設定され、相場は1点出庫料・ピッキング料は、注文が入った時に棚から商品を探し出して持ってくる作業にかかる費用です。料金の形態は入庫料と同じく、1個当たりで設定され、相場は1点当たり10円~40円程度です。こちらも商品のサイズや重さに応じて金額が決まります。

流通加工料は、付帯作業にかかる費用です。例えば、ギフトボックスを組み立ててセット商品を詰めたり、プレゼント用のリボンを付けたり、バーコードシールを貼付したりといった作業が該当します。料金の形態は、作業工数に応じて設定されるため、相場を一概にはまとめられません。

検品料は、届いた荷物が壊れていないか、注文通りの数があるかを確認するための費用です。通常の検品であれば、入庫料や出庫料に含まれているケースもありますが、アパレルの返品や精密機器の通電作業など緻密なチェックが必要な場合に別途請求が発生します。検品料の相場も作業内容によって、変動します。

デバンニング料は、海外から届いた大きなコンテナから荷物を外に出す作業にかかる費用です。料金の形態は、コンテナの大きさ(長さ)によって決まります。相場は20フィートコンテナ(約6メートル)で15,000円〜25,000円程度、40フィートコンテナ(約12メートル)で25,000円〜50,000円程度です。

ここまで述べてきたように、営業倉庫への委託では人件費ではなく、作業量に応じて料金が発生するため、変動費が多い点が特徴です。

自社倉庫と営業倉庫の費用面の比較

では、物流倉庫の自社運用と営業倉庫への委託では、どちらがどのような条件の場合に向いているのでしょうか。以下の表では、費用の性質を比較しました。

比較項目 自社運用 委託
初期費用 高い 低い
毎月の保管料 固定費 変動費
人件費 固定費 変動費

まず初期費用は、物流倉庫を自社運用する方が負担が大きくなります。敷金・礼金や倉庫内の設備投資、システムの構築などの初期費用がかかる場合があるからです。

また自社運用では、保管料が賃料として一定で発生し、人件費も給料として一定で発生する固定費となります。

これに対し委託では、保管料が荷物の量で変わり、人件費は作業費として作業1件ごとに発生する変動費となります。

一見、費用面では委託に軍配が上がりますが、委託では人件費に手数料が上乗せされます。そのため、物量が安定していて、人材を確保できるのであれば自社運用がおすすめです。社内に物流ノウハウが蓄積しやすく、業務改善に向けた施策もテコ入れしやすいメリットがあります。

一方で、新規事業を始めたばかりであったり、物量に波があったりするケースでは、営業倉庫への委託がおすすめです。必要な保管スペース、作業量の分だけ支払いが発生するので、閑散期でも無駄なく効率的に物流体制を構築できます。

物流倉庫の費用を抑えるポイント

物流倉庫の費用を抑えたいと考える企業の多くは、単価の交渉に目が行きがちです。しかし、実際には倉庫の場所選びや、日々の作業の進め方を見直すことの方が、長期的な費用の抑制につながります。

まず、立地選びでは配送料を含めた総額で考えることが大切です。都市部は賃料相場が高いものの、届け先に近いため配送料を安く抑えられるメリットがあります。逆に、郊外は賃料相場が安くても配送料が上がるデメリットがあるため、トータルの支出で判断してください。

次に、物流倉庫を自社運用する際は、必要以上の面積を借りずに固定費を抑えることが欠かせません。天井が高い倉庫を活用すれば、狭い床面積でも多くの荷物を保管できるメリットがあり、無駄なスペースに賃料を払うデメリットを避けられます。物件選びの段階で、保管効率を慎重に検討しましょう。

最後に、導線を工夫して人件費を抑えることです。ピッキングの歩行距離を短くすれば、作業が早くなるメリットが生まれます。非効率な棚のレイアウトや間違えが起こりやすいピッキング方法は人件費を膨らませる原因です。 適切な運用設計が費用を抑えるポイントとなります。

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まとめ

物流倉庫の費用は、保管料(賃料)だけでなく、システム利用料や人件費を含めた全体像で捉えることが重要です。

自社で倉庫を借りる「自社運用」は、固定費は発生しますが、ノウハウの蓄積や長期的なコスト抑制につながるメリットがあります。一方、プロに任せる「委託」は、初期投資を抑え、物量に合わせて費用を変動費化できる柔軟性がメリットです。

自社の現在の物量や将来の成長予測を分析し、収益性を高められる運用形態を選択してください。